クレジットカード不正利用、コロナ禍の今こそ対策を-UCカード山口哲史氏

  ユーシーカードの山口哲史氏
インタビューはオンラインで実施した
非対面での販売も多く、航空券や宿泊など形のない商品を扱う観光産業にとって、クレジットカードの不正利用は頭の痛い問題だ。特に2019年までは、インバウンド需要の拡大によりクレジットカードでの支払いを希望する消費者が増え、比例して不正利用の件数も増加していた。2020年は旅行需要での決済自体が減少したが、コロナ収束後の回復に向け、今こそ体制を整える時なのではないか。ユーシーカードの信用企画部でセキュリティ関連を担当する山口哲史氏に不正利用の現状や観光産業が取るべき対策を聞いた。

-まずは、観光産業におけるクレジットカードの利用状況についてお聞かせください

山口哲史氏(以下敬称略) 観光産業に限らず全体の傾向として、2019年度までは前年比10%から20%の増加で推移してきました。2020年度はコロナの影響で業界を問わず前年度を下回っています。特に宿泊や旅行関連の業界では、2度の緊急事態宣言やGo Toトラベルの停止もあって落ち込みが激しく、回復の時期が見えない状態が続いています。

  2019年まではインバウンド客の増加により、カードを取り扱いたいという加盟店の需要も増えていましたが、こちらも来年度についてはまったく読めない状況です。

-コロナ前と比較して、カードの不正利用の傾向に変化はあるのでしょうか

山口 1度目の緊急事態宣言の発令以降、決済の形式が対面から非対面へ急激に移行しているため、不正利用も非対面の決済で発生する事例が増えてきています。対面決済においては偽造カードの問題がありましたが、カードのIC化が進んだことでセキュリティの堅牢度が上がり、不正利用がクローズアップされることは少なくなりました。

 不正防止の観点から詳しくはお話しできませんが、最近では高額商品を分割払いにすることで発覚しづらくし、不正を働くという手口も増加しています。